[REPORT] 薬物依存症患者の願いは、日々の平安です – さがセレニティクリニック

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そのほか

4月11日、佐賀市鍋島に薬物依存症の診療やリハビリに特化した診療所「さがセレニティクリニック」が開院しました。

犯罪の側面で取り上げられがちな薬物依存症を、医療の観点から支える診療所の開院に先駆け、薬物依存症リハビリ施設DARC(ダルク)創設者の近藤恒夫さん、マーシー(田代まさし)さん、佐賀DARC代表の松尾周さんらをゲストにむかえたトークイベントの模様をご紹介します。

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トークセッション

さがセレニティクリニック

薬物依存症患者の願いは、日々の平安

山田医院長:もともと東京のクリニックで、日本ダルクさんの薬物依存症の患者さんのケアをしてきました。

薬物依存症という病気は、私たち医師にとって教科書で見るだけの情報しか得られませんでしたが、日本ダルクさんの患者さんを診療してきたことは薬物依存症という病気について常に新しい発見を与えてくれました。

薬物依存症が社会問題になり、患者さんが増えてくると、患者さんひとりひとりとの時間が少なくなってくるのも悩みです。

今回開院させていただく「さがセレニティクリニック」では、デイケアで継続した治療を大切にして、患者さんと触れ合っていきたいと思います。キッチンも設置したので、たまには料理もしたいですね。

日本ダルク近藤さん:「さがセレニティクリニック」を命名させていただきましたが、God grant me the serenity .(私たちに平安を与えてください)という祈りの言葉からセレニティという言葉を借りて命名しています。

薬物依存症の患者の願いは、日々の平安です。

山田医院長:1人でも苦しんでいる方にクリニックを知ってもらい、ここでひと休みして社会にもどってほしいという気持ちがこもっています。いずれは巣立って行くけど、気軽に立ち戻って、また巣立っていけるクリニックにしたいと思っています。

さがセレニティクリニック

刑務所で薬を使わないのは「使えない」だけ

日本ダルク近藤さん:薬物依存者の集まる場所が必要だと思い、約30年前に日本ダルクを東京の荒川につくりました。

当時の日本には少年院・刑務所・入ると出れない精神病院など約60箇所しか薬物依存者の居場所がなかったのです。
私自身もどこに行けばいいかわからない人のひとりで、1985年に札幌の拘置所を出てどこに行けばいいかわからなかったのです。

場所はおろか、誰に相談したらいいかもわからない状態の中、縁がありアルコール依存症の方向けの施設ができ、そのお手伝いをすることになりました。そこであらためて、薬物依存症の方向けの場所が必要だと確信しました。

当時は、薬物依存症が病気であるという社会的な認識も薄く、まわりでうつ病になって自殺してしまう方を多く見てきました。
薬物依存症の方がどうやったら医療の力を借りられるかということを考え、医師の方たちに協力を仰ぎ、現在があります。

薬物依存に医療が入ることで、現在では自殺者も極端に減っています。

マーシーさん:じつは、私も最初はダルクの事を半信半疑でした。変な壺を売りつけられるんじゃないかって(笑)

東京のクリニックで山田医院長に2週間に1度診療してもらうときも、最初は「お医者さんだから、注射器をもらえるかも」なんて思いながら通いました。(笑)

当時は「またやりたい」ってしょっちゅう思ってました。

「おかえりなさい」が「コカインなさい」
「駐車おことわり」が「注射おことわり」に聞こえたりね。

ただ、ダルクを通して自分の足で診療に行く限り使えない。
刑務所で薬を使わないのは「使えない」だけで、自分の意思で使わない意思が大切なんです。

だから刑務所での3年間より、ずっと重要な時間を過ごしてます。

こういう言葉も、昔はよく思われようと思ってしゃべっていたけど、いまは自分に正直に、自分の本心でしゃべれるようになりました。

山田医院長:自分の経験を伝えることが、自分の回復にも繋がると思います。
本当に、正直に喋れるようになってきましたね。

さがセレニティクリニック

精神科の方でも薬物依存を病気と認識してくれる方は少ない

マーシーさん:診療中も「先生」と感じず、もっと近い存在と思ってました。

精神科の方でも薬物依存を病気と認識してくれる方は少ないんです。だから心がおちつく場所だった。

唐津にはまだ田代家のお墓があり、縁のある場所。
あじさいの花は環境がかわると、花の色がかわる。
佐賀でも美しい花をさかせてほしい。

患者さんが重症にならないように。
病院が栄えることは、患者が増えることで必ずしもよいことではないけど、クリニックを使う方が増えるといいなと思います。

自分が薬物をやっていなかったら、今日この場所でみなさんに会うこともなかったかもしれない。
こういう形で、生まれ故郷に訪れることができたのも、人生の筋書きかもしれない。

そう思えるようになってきました。

佐賀ダルク松尾さん:佐賀ダルクも支援の会が3年前にでき、強力いただける弁護士の先生もできました。
佐賀でも一般に、薬物依存症のことは理解されていません。

街の中に薬物の病院ができるのはすばらしい。
多くの方に知ってほしいと思います。

山田医院長:外来診療では、心が苦しい・心かカラダかもわからないといった診断名がつかないような相談にもお応えできます。
本人でも、そのご家族・友人でも結構ですので気軽に相談してください。

クリニック紹介

さがセレニティクリニック
住所:佐賀県佐賀市鍋島3-2-4
電話:0952-37-7430


くぼ薬局医大通り店そば

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