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サガン鳥栖はやはり「荒い」のか。鳥栖スタイル継続で日本サッカーを牽引してくれ!

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3月28日のヤマザキナビスコカップ・湘南ベルマーレ戦のマッチ・デイ・プログラム(MDP)で、興味深いデータが紹介されていました。ユニフォームスポンサーの佐賀新聞とのセットで、今季から130円と有料になったMDP。その最終面にはサガン鳥栖のディフェンダー菊池選手と丹羽選手の写真。そしてそこに、「泥臭く…美しく」というキャッチコピーが添えられていました。

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この日の来場者に対し、MDPが訴えていたことを要約すると、「昨季のサガン鳥栖のファウル数はリーグで2番目の多さだった。しかし、警告率は8.7%と下から数えて5番目。ボール際で激しく競り合う意識が高い分ファウルとジャッジされる回数は多いが、カードを提示されるようなファウルは少ない。鳥栖のプレースタイルは”荒い”と見られがちだが、クリーンに戦っていることをデータが証明している」というものでした。
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なるほど。これは素晴らしいことです。サガンのスタイルを”荒い”と見るか、”戦っている”と見るか。正しいのは後者だということを、イエローカードを受ける割合の少なさが物語っているのです。「戦うチーム」。サガンがJ1で上位に食い込むクラブになったのは、J2時代から受け継がれているこの精神があるからこそ。未だにクラブのスタイルを確率できていないチームが多いなか、監督が変わってもスタイルを変えることはありません。今季から指揮を執る森下仁志監督も、そのスタイルを継承できる人物としてサガンを率いることになりました。

クラブのスタイルがはっきりしていること。すなわちそれは、クラブに「アイデンティティ」が備わっているということです。それがあるとファンを得やすいのですが、「らしさ」を持っているJクラブはまだ多くありません。それぞれがスタイルを確立して個性を打ち出せられれば、ホームタウンの人々の心をもっと掴むことができるのでは、と思います。サガン鳥栖の場合、誤解を恐れずに言うと、「田舎のクラブ」であることから芽生える反骨心を体現した「戦う」というスタイルと、地元の方の心情が合致し、街の誇りとなっている、のではないでしょうか。

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近ごろ、サッカーにおいて「戦う」ということについて、「プレー・インテンシティ(強度)」という言葉を用いて議論され始めています。昨年のワールドカップを思い返すと、多くの代表チームがケガを恐れぬ闘争心溢れるプレーを見せ、多くのナイスゲームが生まれました。その反面、日本代表のプレーはクリーンだけれども「勝ちたい」という気持ちがプレーに表れず、試合内容も面白みに欠けるものでした。勝負に賭ける姿勢において、世界との差を痛感した日本サッッカー。新たに代表監督に就任したハリルホジッチ氏も、代表チームだけでなく、日本サッカー全体でプレー・インテンシティを上げていくことを重要課題の一つとしています。

その点で、戦うチームであるサガン鳥栖は、日本サッカーのお手本だ!と、思い始めていた矢先、例の出来事が起こってしまいました。鹿島アントラーズ戦におけるキム・ミンヒョク選手による暴力的なプレーにより、前述のデータでの自画自賛は説得力が一気にダウン。キム選手個人による悪質極まりない行動ではありますが、かねてから「荒い」というイメージを抱いていた人は「やはり」と感じられたかもしれません。チームスポーツである以上、仕方ありません。この一件に関して、リーグからはキム選手に4試合の出場停止が課されました。ネット上では多くのバッシングが見受けられますが、サガン鳥栖サポーターの間では、処分を真摯に受け止めキム選手に反省を求める声が大半を占めています。

 

 

個人的に心配なのは、これを機にサガンの「戦う」スタイルが影を潜めてしまうこと。勝つための生命線でもある以上、萎縮したプレーは成績に大きく響きます。こればかりは、選手たちの腹が据わっていることを祈るばかりです。もしチームスタイルへの理解の仕方に選手間でズレがあったのなら、統一を急いでほしいです。僕自身、キム選手に対しては、持ち前のファイターっぷりが今季からさらに磨きがかかった印象を受けており、特別に応援していきたいと思っている選手です。出場停止が明けた後は、戦う意識の中にも冷静さをあわせ持ったキム選手に、「戦う」サッカー継続すべく、チームメイトを引っ張っていってもらいたいです。

一般層への露出が少な過ぎることが問題視されているJリーグですが、悪い出来事は本当によく広まるもので、インターネットを通じて情報を受け、サガン鳥栖にマイナスイメージを抱いた人も少なくないでしょう。この状況から、「戦うプレースタイル」が評価されるようになるには時間がかかると思います。しかし、日本サッカーが世界に近づくためには、サガン戦士のようなスピリットが必要であることに疑問の余地はありません。またベアスタで「これぞサガン鳥栖!」と胸を熱くさせてもらえることを切に願います。

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